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      現在の経済システムは、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした、リニアエコノミー(リニア型経済)だと言われています。
      しかし、人口増加や経済規模の拡大に伴う資源の過剰利用に加え、資源制約や地政学的な調達ルートの問題、あるいは気候変動や自然生物多様性の影響や資源の価格高騰による調達コストの増加など、今や世界中で顕在化しつつあるさまざまなリスクにより、リニアエコノミーは急速に不安定化しています。
      また、リニアエコノミーが持続可能という前提の上に成り立っているさまざまなビジネスモデルも同様に、重大な影響を受けるのではないかとの懸念が強まっています。
      こうした外部環境の変化により、循環型経済へ移行しないこと自体が中長期的な経営リスクに直結するという認識は広まっており、多くの企業が事業戦略の一環として、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を前提としたビジネスモデルへの変革を検討し、着手し始めています。
      サーキュラーエコノミー戦略に適合したビジネスモデルの変革を促すために、世界初の資源循環の指標算定・情報開示の枠組みとしてGlobal Circularity Protocol for Business Version 1.0(GCP1.0)が公表されました。

      サーキュラーエコノミーとは

      サーキュラーエコノミーは、生産段階から、資源の再利用などを視野に入れた設計をし、資源の使用量を可能な限り抑え、使用期間をできるだけ長くするなど、バリューチェーンのあらゆる段階における資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、サービスや製品に最大限の付加価値をつけて、資源消費とデカップリング(分離)された経済成長を実現していくための経済システムです。

      これは、従来型の「採る・作る・廃棄する」の一方通行のリニアエコノミーから抜け出し、資源の流れをループ化させ、可能な限り小さいループで資源の価値を高く維持することを目指すものです。

      図1:リニアエコノミーとサーキュラーエコノミー

      リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのビジネスモデル変革-1

      企業に求められる資源利用に関する課題解決

      サーキュラーエコノミーは、高まる環境法規制の遵守のほか、資源制約・地政学的問題・市場変化への対応を通じて、資源利用に関するリスク管理を強化することを可能とします。サーキュラーエコノミー戦略の実装を通じて、企業はさまざまな課題に取り組むことが可能であると、KPMGは考えます。

      <企業が直面する課題>
      課題①:レジリエンス強化:サプライチェーン上の資源制約・地政学リスクの高まり
      課題②:規制対応:EU中心のCE関連規制(エコデザイン規則(ESPR)・包装・包装廃棄物規則(PPWR) 等)強化
      課題③:ビジネス機会創出:サーキュラーエコノミー戦略に基づいた新規ビジネスの発掘・創出
      課題④:サステナビリティ対応:GHG削減・ネイチャーポジティブへの貢献、ESG外部評価対応

      これらの課題への対応は今や企業にとっても急務であり、そのためには「資源消費・環境影響とデカップリングした企業成長戦略」、いわゆる経営レベルでのサーキュラーエコノミー戦略の実践が必要だと考えます。

      戦略

      例示

      対応課題

      リサイクル材の利用
      再生材の利用比率を高め、バージン資源使用量を削減する

      再生PETボトル、再生樹脂・再生アルミの利用

      課題①:レジリエンス強化
      課題②:規制対応
      課題④:サステナビリティ対応
      シェアリングサービス・Product as a Service(PaaS)
      製品を販売せず、利用サービスとして提供

      自転車利用サービス、カーシェア、工具レンタルサービス

      課題③:ビジネス機会創出
      課題④:サステナビリティ対応
      製品寿命延長
      修理、アップグレード、保守により製品を長寿命化する
      保守点検・交換回収サービス、中古品市場売買課題③:ビジネス機会創出
      課題④:サステナビリティ対応
       

      循環性に関する初の国際プロトコル-GCP1.0

      資源循環の指標算定・情報開示の枠組みであるGCP1.0は、企業の資源循環の取組みを測定・管理・開示するための世界初のプロトコルとして、2025年11月に公表されました。
      これまで、企業が循環性を報告するにあたっては、指標の不統一、定義のばらつき、国際標準の欠如などの課題が存在していました。
      一方、資源を巡るさまざまなリスクが顕在化するなかで、循環性に関する測定・管理・開示の重要性が徐々に高まっていた背景のもと、企業間イニシアチブであるWBCSD(World Business Council For Sustainable Development)が開発を主導し、国内外の大企業にも参画を得ながらGCP1.0は開発されました。
      GCP1.0は、企業の循環性パフォーマンスとその影響を測定・管理・開示するためのグローバルなフレームワークとして、企業の資源循環の取組みを支援するガイダンスであるといえます。

      図2:GCP1.0の5つのステージ

      リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのビジネスモデル変革-1

       

      図3:GCPのエッセンス

      リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのビジネスモデル変革-1

      企業は資源に関するリスクや機会を適切に認識したうえで、サーキュラーエコノミー戦略の実践を加速していく必要があり、そのためにGCP1.0を活用することが有用です。

      <サーキュラーエコノミー戦略を実践するための企業のGCP1.0活用(例)>

      リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのビジネスモデル変革-1

      KPMGの支援内容

      KPMGジャパンは、気候変動、自然生物多様性、サプライチェーン管理、人権対応など、サステナビリティの多様な領域において、さまざまな支援や第三者保証を提供してきた、永年の豊富な実績と知見を有しています。

      こうした国内での実績や知見と、グローバルでのGCP1.0策定への関与経験やEU規制に関する豊富なナレッジに基づいた見識を活かし、サーキュラーエコノミー戦略に基づいた企業の皆様のビジネスモデルへの移行・実装の取組みに対して、「理解・戦略策定」から「測定・管理」「開示・保証」といった一連のGCPフレームワークに沿った支援を提供します。

      具体的には、マテリアルフロー可視化やリスク機会分析を起点に、指標・データ基盤の整備、環境インパクト評価を通じて、循環型ビジネスモデルへの移行・実装、ビジネスモデル変革による企業価値創出を実現し、最終的にはステークホルダーへの情報開示と第三者保証までを、統合的に支援します。

      リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのビジネスモデル変革-1

       

      サーキュラーエコノミーへの移行に向け、EUを中心に法規制強化が進むなか、WBCSDはGCP1.0の改訂や補助的ガイダンスの開発を進めています。

      企業によるサーキュラリティ向上の取組みにおいては、まずGCP1.0を活用して現状把握を行い、取組みの高度化を推進することが重要となります。GCP1.0の活用を通じて、社内での対話促進から戦略策定、KPI設定、施策実行、情報開示、ステークホルダーとの対話に至るまでのPDCAサイクルを継続的に回すことで、サーキュラーエコノミーへの移行を着実に前進させることができます。また、その過程で得られた成功事例や改善課題について、多様な主体との対話を深めることが重要です。こうした継続的な実践と知見の蓄積が、企業単位に留まらず、グローバルなサーキュラーエコノミーの発展・普及につながるものと考えます。

      担当者

      KPMGあずさサステナビリティ株式会社
      パートナー  神山 清雄
      ディレクター  片倉 寧史
      シニアマネジャー 羽場 倫子

      KPMGコンサルティング株式会社
      アソシエイトパートナー 堀内 敬一
      シニアマネジャー 山本 潤平

      関連情報

      企業の活動が地域経済・社会・環境に与えるインパクト(非財務的価値)を測定して企業が社会に創出する「真の価値」を可視化し、サステナビリティ戦略の策定や情報開示のさらなる高度化を支援します。

      KPMGは戦略的なインターナルカーボンプライシングの活用を支援し、クライアントのカーボンニュートラル化、その先の長期的な企業価値の向上に貢献します。

      KPMGは、企業の中長期的な価値向上の取組みとしてのサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現を包括的に支援します。

      KPMGジャパンは、社会的課題の解決を通じて、サステナブルバリューの実現を目指す組織の変革に資する的確な情報やインサイトを提供しています。

      CFOに求められる役割やCFO組織が直面する課題に関するインサイトを提供します。

      本稿では、「True Valueメソドロジー」における、社会的インパクトを定量化するためのアプローチと、その結果をどのように長期的企業価値の向上に結び付けていくかについて事例を交えて解説します。